肝斑は、主に顔の頬骨のあたりにホルモンの影響などで現れるもやもやとした茶色のシミで、多くの女性に起こり得る症状です。

加齢と紫外線で現れる通常のシミとは異なり、シミ取りレーザーなどの強い刺激がある治療をすると、悪化する可能性があるので注意が必要な症状です。

そこで肝斑治療の一つとして注目されているのが、トラネキサム酸を用いた治療です。

メラニンの生成を抑制する効果があるトラネキサム酸を内服したり、外用したりすることで、体の内側や肌組織の内部から肝斑を治癒します。

この記事では、2003年の開業以来、シミ治療症例数15万件以上の美容皮膚科フェミークリニックが、トラネキサム酸を用いた肝斑治療や、並行して行うことで有効な治療法について解説します。

肝斑とはどんな症状か

肝斑とはどんな症状か

肝斑は、特に顔の側面や頬骨のあたりに現れる茶色の色素沈着の一種です。

30代~40代の女性に多く見られ、特に妊娠中やピルの使用、ホルモンバランスの乱れが引き金となることが多いです。

肝斑は左右対称に発生することが特徴で、紫外線や摩擦の影響を受けやすい部位に現れます。

メラニンの過剰生成やホルモンバランスの変化が主原因とされていますが、その背後には複雑な要因が絡んでいます

スキンケアの際の摩擦や紫外線などの刺激によって悪化しやすいことも特徴です。ストレスによって症状が悪化することもあります。

ちなみに、肝斑には「肝」の字が使われていますが、これは一説に、肝臓に似た形に現れるから名付けられたと言われており、肝臓と肝斑に因果関係はありません。

肝斑と一般的なシミの違い、見分け方

肝斑は他のシミと混同してしまいがちですが、肝斑を他のシミと同じように治療すると逆に悪化してしまう可能性があります。

そのため、あらかじめよく見分けてから治療をはじめる必要があります。

肝斑とシミの違いについて解説します。

肝斑

肝斑

肝斑は主に顔の上部、特に頬骨の高い部分や目の下、鼻筋に沿った頬部に左右対称に現れます。

はっきりした形ではなく、もやもやとくすみが広がっていることも特徴です。

原因はまだはっきり解明していない部分もありますが、ホルモンバランスの変化やストレスが原因とされています。

シミ(老人性色素斑)

シミ

老人性色素斑は加齢によってできるシミの代表格で、顔をはじめとして腕や首、足など紫外線が当たりやすい場所ならどこにでも現れ、楕円や円などはっきりと形を象ることが多いです。

主に紫外線によるダメージや老化が原因です。老人性色素斑と呼ばれていますが、20代でも出来る可能性があります。

肝斑とシミ(老人性色素斑)は混同しがちなため、その違いを見極めて適切な治療をするためには、美容皮膚科での診断が重要です。専門医の意見を聞くことで、適切な治療法を選ぶことができます。

肝斑とシミ(老人性色素斑)の比較表

間違えられやすい肝斑とシミについて、比較表を作成しました。

一般的なシミ
(老人性色素斑)
肝斑(肝斑)
見た目 境界線がはっきりした楕円などで見える もやもやとした広がり方
発症する場所 紫外線が当たる場所ならどこでもできる 頬骨付近に左右対称に現れる
発症原因 紫外線などの刺激でできたメラニン色素の滞留 妊娠や経口避妊薬の摂取によるホルモンバランスの変化/ストレスや摩擦で悪化する
発症する年齢 20代後半から加齢に伴い増える 30代~40代の発症が多く、妊娠をきっかけに発症することも

トラネキサム酸の基礎情報

トラネキサム酸の基礎情報

トラネキサム酸は人工アミノ酸の一種です。炎症を引き起こす酵素「プラスミン」の生成を抑制する「抗プラスミン作用」によって、医療の現場では抗炎症薬や止血剤の治療にもよく用いられている薬剤です。

トラネキサム酸の肝斑やシミに対する効果

トラネキサム酸の肝斑やシミに対する効果

トラネキサム酸は、その優れた抗プラスミン作用により、肝斑やシミの治療に非常に効果的であるとされています。

皮膚に炎症が起きると「プラスミン」という酵素が作られます。このプラスミンが増えるとメラノサイトという細胞が刺激され、メラニン色素が生成され、シミや肝斑が悪化していまいます

トラネキサム酸は抗プラスミン効果によって、メラノサイトが刺激されるのを抑える効果があることがわかり、シミや肝斑の治療といった美容医療にも活用されるようになりました

トラネキサム酸によってメラニンの生成を抑制して肝斑やシミの色が薄くすることは、シミ取りレーザーなどの刺激が強い治療ができない肝斑に対して、有用な治療方法といえます。

トラネキサム酸内服による肝斑治療

トラネキサム酸内服による肝斑治療

トラネキサム酸の内服は、肝斑治療において非常に効果的な方法とされています。内服することで血中のプラスミンを抑制し、体の内側からメラニンの生成を防ぎます

この作用により、肝斑だけでなく一般的なシミ(老人性色素斑など)にも効果が期待できます。

継続的な適切な内服が必要となるため、専門医の指導の下で行うことが推奨されます。

フェミークリニックでは、トラネキサム酸の他に「シナール」も一緒に処方することが多いです。

シナールはいわゆる「ビタミンC」のお薬ですが市販のビタミンC薬とは異なり、「パントテン酸」というビタミンCの働きをサポートする成分が配合されています。

ビタミンCの抗酸化作用やメラニンの生成抑制作用によって、トラネキサム酸との相乗効果でシミや肝斑の悪化を防ぎ、ターンオーバーによる治療効果もサポートします。

効果が現れるまでの期間は?

トラネキサム酸内服の効果が現れるまでの期間は一般的に13ヶ月程度と言われています。しかし、個々の体質や症状の程度によって異なり、初期段階で早期に効果を実感する人もいれば、長期間の服用が必要な場合もあります。

一度効果が現れた後もその持続には一定の内服を継続する必要があります。治療を中断すると再度肝斑やシミが現れる可能性があるため、医師の指導に従って定期的に内服を続けることが重要です。

トラネキサム酸の内服は保険適用される?

トラネキサム酸の処方は美容目的で行う場合、通常は保険適用外となります。

手術後の出血防止や特定のアレルギー反応の緩和など、医療的にトラネキサム酸が必要とされる場合に保険が適用されることがあります。

ただし肝斑治療としてのトラネキサム酸内服は基本的に美容目的であるため、保険適用外となり、全額自費での負担が発生します。

また自由診療であるため、クリニックによって金額設定が異なります。治療を始める前に、医師に詳細を確認し、費用面での準備をすることが大切です。

服用時の注意点と副作用

トラネキサム酸を服用する際には、いくつかの注意点と副作用について理解しておくことが重要です。

まず、トラネキサム酸を長期間服用する場合、過度の抗プラスミン作用により、血栓症のリスクが増加する可能性があります。そのため、心臓や血管系に問題を抱えている方は、医師に相談することが必要です。

また、副作用として胃の不快感や吐き気、頭痛などが報告されています。これらの症状が続く場合は、すぐに医師に相談してください。服用は医師の指導のもとで行い、自己判断での中断や変更は避けましょう

市販薬と処方薬の違いは?

トラネキサム酸を用いたシミ・肝斑治療薬は、ドラッグストア等でも販売されています。

市販薬は診察なしで誰でも手軽に購入できる反面、その効果や作用がマイルドであることが多いです。また、成分の含有量も処方薬に比べて少ないことが多く、効果を得るには時間がかかる場合があります

一方、処方薬は医師の診断と指導の下で使用されるため、効果が高く、安全に使用することができます。また服薬の継続期間も、治療の進行と安全性の両方の点から専門的な判断をしてもらうことができます。

特に適切な内服の継続が重要な肝斑治療では、専門医の指導のもとで処方薬を使用することが望ましいです。市販薬と処方薬の違いを理解し、適切な治療を選択しましょう。

エレクトロポレーションでトラネキサム酸を肌に浸透させる

アクシダーム(エレクトロポレーション)

トラネキサム酸を用いた肝斑治療は、内服による体の内側からの治療だけでなく、肌に浸透させて肝斑に作用させる方法もあります。

フェミークリニックではエレクトロポレーションという技術を用いてトラネキサム酸を肌の深い層にまで届けさせる治療を行っています。

エレクトロポレーションとは

イオン導入との違い

エレクトロポレーションとは、電気穿孔法とも呼ばれる技術で、短く強い電気パルスを利用して細胞の膜に小さな穴を開け、塗布した成分を皮膚の深層部まで浸透させる技術です。針やメスは用いません。

健康な肌は、雑菌や異物から保護するバリア機能を持っているため、通常の美容液などはこのバリアに阻まれ、肌の奥まで浸透しにくい特徴があります。しかし、エレクトロポレーションで細胞壁に穴を開けることで、肌の真皮層にまで有効成分を届けることができます。

またエレクトロポレーションで開けられた穴は、数秒から数分で自然に閉じる特性を持つため、有効成分を逃さず、肌の奥に確実に閉じ込めることができます。

トラネキサム酸を真皮層に届けて肝斑を治療

エレクトロポレーションを用いることで、トラネキサム酸が肌の深い層にまで効率よく届き、その効果を最大限に引き出すことができます

肝斑やシミの治療においては、内服だけでは届かない部位に直接アプローチが可能となり、効果の向上と持続生の向上が期待できます。

エレクトロポレーションでは肌トラブルに合わせて様々な溶液を選択したり組み合わせたりします。

トラネキサム酸が配合された溶液は下記の2種類があります。

基本溶液「レナトスTaプラス」

レナトスTaプラス

肝斑に有効なトラネキサム酸と、美白効果に有効なビタミンCが主な成分です。美肌に欠かせないヒアルロン酸も配合されています。

TRANEXAMIC ION POWDER(トラネキサム酸)

TRANEXAMIC ION POWDER(トラネキサム酸)

トラネキサム酸を主な成分にした溶液です。メラノサイトの増殖抑制作用、抗炎症作用があります。

シミや肝斑のあるお顔全体に塗布し、エレクトロポレーションで浸透させます。

トラネキサム酸以外の肝斑治療法

肝斑の治療法は多岐にわたります。トラネキサム酸を用いる方法が広く知られていますが、それ以外にもさまざまな治療法が存在します。

これらの治療法は個々の症状や肌の状態に応じて選ばれることが多く、専門医と相談して最適な治療法を選ぶことが重要です。

以下にフェミークリニックで行える肝斑治療法を紹介します。

レーザートーニング

レーザートーニング

レーザートーニングは、低出力のレーザーをお肌に当ててメラニン色素の分解を促進することで、色ムラを改善する治療法です。

滞留したメラニン色素に作用する治療でありながら、シミ取りレーザーに用いられるレーザーに比べてマイルドなため、肝斑を悪化させずに使用することができます。

痛みが少なく、ダウンタイムがほとんどないため、忙しい日常の中でも手軽に受けられるのが特徴です。

ピーリング治療

サリチル酸ピーリングの効果やメリット

ピーリング治療は、肌トラブルに合う各種薬剤をお肌に直接塗り、古い角質や汚れを除去する美容治療です。新陳代謝が促進することで肝斑やシミが徐々に薄くなることが期待できます

肝斑治療に適応する主なピーリング治療は以下の通りです。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、酸を使用して古い角質を取り除き、新しい皮膚を再生する肝斑・シミ治療法です。この方法は、肝斑の改善だけでなく、肌全体のトーンアップや毛穴の引き締めにも効果があります。

フェミークリニックでは、サリチル酸マクロゴール、グリコール酸、乳酸の用意があり、肌質や目的に合わせて最適なものをご提案します。

レチノールピール

レチノールピールは、レチノール(ビタミンAの一種)を用いたピーリング治療です。細胞のターンオーバーを促進し、肝斑やシミの色素沈着を改善します。

また、レチノールは抗酸化作用があり、アンチエイジング効果も期待できます。

コラーゲンピール

コラーゲンピールは、コラーゲンを生成する成分を含んだピーリング剤を使用して、肌の再生を促す治療法です。この方法は、肝斑の改善と同時に、肌にハリと潤いを与える効果があります。

また、コラーゲンピールは他のピーリング治療に比べてフロスティング作用(皮フの剥離作用)があまりなく、皮むけやひりつきが心配な方におすすめです。

ゼオスキンヘルス

スキンケアプログラム【ゼオスキンヘルス(ZO Skin Health)】

ゼオスキンヘルスは、ドクターズコスメとして知られるスキンケア製品ラインです。

医療用コスメにだけ配合できる美白成分や抗酸化成分が肌のターンオーバーを促進し、メラニンの生成を抑えます

定期的に使用することで、肝斑の色素沈着が薄くなり、明るく透明感のある肌を目指せます。この製品を使用する際は、専門医の指導のもとで適切なスキンケアプランを立てることが重要です。

肝斑の予防について

肝斑の予防について

肝斑は一度目立つようになると治りにくい症状です。トラネキサム酸などの治療を進めつつ、悪化しないように予防することも大切です。
肝斑が悪化したり、目立ちはじめないように日頃から以下のことに気をつけましょう。

・肌への摩擦に気をつける
・紫外線対策をしっかり行う
・生活習慣の見直し

それぞれ具体的に解説していきます。

肌への摩擦に気をつける

肝斑は、肌への摩擦で悪化することがわかっています。そのため、日常の中で肌に摩擦が起きないように意識することが重要です。

ひとつひとつの摩擦は大したことがなくとも、日に何度も行ったり、ダメージが何年も蓄積されたりすることで肝斑が悪化する可能性があります。

具体的に気をつけるポイントは以下の通りです。

・目の周りや頬を掻いたり擦ったりしない
・クレンジングや洗顔は撫でるように優しく
・タオルで水分を拭く際は擦らず抑えるようにして吸わせる
・基礎化粧品を強く塗り込まない
・メイク道具を何度も往復させない

紫外線対策をしっかり行う

肝斑は一般的なシミ(老人性色素斑)と同様、メラニンが滞留していることで茶色に見えているため、紫外線によってメラニンが生成されることで濃く悪化してしまいます。

紫外線は曇りや雨の日でも降り注いでいるため、外出時は常に紫外線対策を行いましょう。肝斑が乗じる頬骨部分は顔の中でも出っ張っているため、日差しを受けやすい部分です。

日焼け止めを適切に使用し、日傘、広いつばの帽子、サングラスなどのアイテムを上手に活用して紫外線を防ぎましょう

生活習慣の見直し

乱れた生活習慣や過度なストレスはホルモンバランスを乱れにつながるため、肝斑の悪化の原因になります

また睡眠不足や乱れた食生活は、ターンオーバー(肌細胞の新陳代謝)を遅らせます。ターンオーバーの乱れは、メラニンの排出を遅らせ、シミや肝斑を悪化に繋がるだけでなく、ニキビやシワなどあらゆる肌トラブルの元ともなります。

適切な睡眠時間の確保や、栄養バランスの取れた食事、また適度な運動や趣味の時間によるストレス発散などを意識して、若々しく健康な肌を維持することを目指しましょう。

肝斑治療なら、まずはフェミークリニックの無料カウンセリングへ

即効性やエイジング効果を実感!フェミークリニックのシミ治療

肝斑は、間違った治療を行うと悪化する可能性があるため、大切なのは、そのシミが肝斑かそうでないのか、正確に診断することです。

また肝斑とシミが混在している場合は、必ず肝斑の治療からはじめる必要があります。

フェミークリニックは2003年の開院以来、シミ治療症例18万件以上の実績があるため、シミの種類を正しく見極め、最適な治療プランをご提案することが可能です。

無料カウンセリングでお肌の状態を診察させていただき、トラネキサム酸の処方や、その他最適な肝斑・シミの治療のプランについてご提案させていただきます。

もちろんその場ですぐ治療をするか決める必要はありません。

心配なことや疑問についてご質問いただき、ご納得いただいたら一緒に治療をはじめせていただければと思います。

ぜひ一度、お気軽にカウンセリングにお越しください。

トラネキサム酸と肝斑治療についてよくあるご質問

トラネキサム酸を用いた肝斑治療に関するよくあるご質問とその回答をまとめました。

トラネキサム酸で肝斑は消えますか?
トラネキサム酸は、肝斑治療において効果があるとされています。 プラスミンの働きを抑えることで、メラノサイトによるメラニン生成を抑制し、肝斑の色素沈着を薄くする効果があります。
しかし、完全に消えるかどうかは個々の症状や治療の期間、さらには個人の体質によります。継続的な服用と適切なスキンケアが求められます。治療の進捗状況は定期的な診察で確認し、必要に応じて治療法を調整することが大切です。
トラネキサム酸は肝臓に悪いですか?
トラネキサム酸は一般的に安全性が高い薬剤とされていますが、長期間にわたる大量の服用は肝臓に負担をかける可能性があります。
しかし、通常の肝斑治療における適切な用量での服用では、肝臓への影響はほとんどないとされています。
ただし、既往症として肝臓疾患を抱えている場合や他の薬剤との併用を考えている場合は、必ず担当医師に相談し、定期的な血液検査などで肝機能をチェックすることが重要です。
肝斑に一番効く治療法は?
肝斑に最も効果的な治療法は、個々の症状や肌質によって異なります。 トラネキサム酸の内服は多くの患者に対して効果を発揮していますが、レーザートーニングやピーリング治療、エレクトロポレーションなどの他の治療法も有効です。
またこれらの治療法を組み合わせることで、より高い効果を得ることが可能です。専門医と相談して、自分に最も適した治療法を選択することが最良の結果をもたらします。