加齢にともない、ふと気がつくといつの間にかできている顔の「シミ」。鏡を見るたび気になるのに一度できてしまうとセルフケアで消すことはなかなか難しく、時間をかけてコンシーラーやファンデーションで隠している方も多いのではないでしょうか。
できればこれ以上シミを作らず、いつまでも若々しく見られたいという方のために、顔にできる様々なシミの原因と治し方について解説していきます。シミができたり濃くなってしまったりする原因を知って気をつけながら、シミやくすみのない、クリアで若々しい肌を目指しましょう。
加齢や紫外線により現れる「シミ」の代表格です。楕円や斑点など様々な形で現れます。形の輪郭がはっきりしていて、褐色~黒色をしています。主に30代以降、早い人は20代からできはじめ、年齢と共に濃く大きくなったり、出現場所が増えたりします。
頬や目の下、鼻根に左右対称にできる小さな点状の斑点です。色は黄色がかった薄めの褐色で、春や夏に少し色が濃くなるのが特徴です。幼少期、学童期から発症し、思春期ごろに差し掛かるとより目立つようになります。大人になるにつれ薄くなるパターンが多いですが、ずっと残る方もいます。
肝斑(かんぱん)は、頬骨のあたりに、曖昧な形でもやもやと左右対称にできるシミです。やや赤みを帯びた黃褐色をしています。30代~40代に発症することが多く、妊娠中や更年期の女性に発症しやすいとされています。
頬や頬骨のあたりに左右対称にまとまってできる小さな斑点状のシミです。(他の部位に生じることもあります)真皮層にメラニンが蓄積してできる深いシミ(アザと呼ぶこともあります)で、色は他の褐色のシミに比べてやや青やグレーがかってみえます。また他のシミ(そばかす除く)に比べて発症が早く、10代後半~20代に発症します。
色むらがあり、肌の色味がくすんで見える状態のことを指します。
形の境界線はぼやけていて、セルフケアによる肌状態の改善により自然と消えることもあります。怪我やニキビの炎症、摩擦により色素が定着してできることもあります。
年齢に関係なく発症します。
イボのように立体感がある膨らみで、表面は乾燥していてガサガサしています。老人性色素斑の進行や、紫外線、お肌への摩擦で生じ、色は黒っぽい褐色です。
やはりシミの一番の天敵は「紫外線」です。紫外線を浴びた肌は、表面層にある「メラノサイト(色素細胞)」を活性化してメラニン(黒の色素)を生成。肌を黒くして肌細胞を守ろうとします。いわゆる日焼けした状態です。こうして作られたメラニンは本来、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)によって徐々に肌表皮に押し上げられ、古い角質と一緒に剥がれ落ちて排出されます。しかし、加齢や生活習慣の乱れなどによってターンオーバーのサイクルが乱れてくると、肌から排出されるスピードが遅れ、徐々に肌の中にメラニンが蓄積され、シミとなって残ってしまうのです。また肝斑も紫外線に当たると濃くなることがわかっています。
実は肌への摩擦も、紫外線と同じようにメラニンが生成される原因となります。たとえば洗顔の後にタオルでごしごし拭き取る、シートタイプのメイク落としで肌を強く擦るなどの日常のちょっとした摩擦も、外からの刺激から肌を守ろうとメラノサイトが活性化します。身体では長時間の座り仕事による臀部の色素沈着や、ムダ毛の自己処理の刺激による脇の色素沈着は良く見られる症状です。また過度な摩擦によってバリア機能が低下した肌は、ターンオーバーも乱れがちになるので、メラニンの排出がうまく行かなくなる可能性があります。
シミの中でも肝斑は、妊娠や出産、更年期などホルモンのバランスが乱れがちな時期に発生しやすく、女性ホルモンが強く関係している症状です。また、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)も、遺伝的要因の他、ホルモンバランスが乱れることでもできるとされています。
素肌を晒す顔は日中最も紫外線を浴びる場所の一つです。しかも紫外線は、強弱の差はあれ春夏秋冬すべての季節で降り注いでいます。日焼け止めやUVカット効果を持つ化粧下地を塗るのはもちろん、ファンデーションもUVカット効果があるものを使うのがいいでしょう。とはいえ、日焼け止めは効果が強いものはその分、肌への負担が増えてします。用途によって使い分けましょう。
ライフシーン | 推奨SPF | 推奨PA |
---|---|---|
日常生活(通勤やちょっとした買い物など) | SPF10~20 | PA+~++ |
屋外での軽いスポーツやレジャーなど | SPF20~40 | PA++~+++ |
炎天下でのレジャー、マリンスポーツなど | SPF40~50+ | SPA+++~++++ |
SPF:紫外線B波(シミ・そばかすの原因になる)に対するプロテクト効果。 PA:紫外線A波(しわ・たるみの原因になる)に対するプロテクト効果 ※光線過敏症など、紫外線にして特別な対策が必要な方はかかりつけ医や専門医にご相談ください |
また、日焼け止めの効果は2時間程度しか持続しません。定期的な塗り直しをするか、メイクの上から散布できるスプレータイプの日焼け止めを活用しましょう。もちろん日傘や帽子で紫外線を物理的に遮るのも効果的です。
肝斑や色素沈着は、摩擦によってできたり濃くなったりします。タオルで顔を拭く時はあまり擦らず、押し当てるようにして水分を吸い取るようにしましょう。また、シートタイプのメイク落としや拭き取り化粧水などで肌表面を擦りすぎるのもシミができるきっかけになるので注意しましょう。
●保湿をしっかりと
肌が乾燥するとターンオーバーが乱れ、メラニンを正常に排出しづらくなり、くすみやシミの原因となります。
●美白化粧品の使用
に出来てしまったシミを消すことは出来ませんが、予防効果は期待できます。うまく取り入れてみましょう。敏感肌の方は肌に合わない場合もありますので注意してください。
(トラネキサム酸、ナイアシンアミド、4MSKなど)
ホルモンバランスが崩れたり、ストレスや栄養不足によってターンオーバーが乱れると、血流が滞りその分メラニンが皮膚に残りがちになってしまいます。睡眠や栄養をしっかり摂り、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。特に成長ホルモンを分泌してお肌の生まれ変わりを促進するために睡眠は大切です。あまり夜更かしせず、毎日しっかり睡眠時間を確保するようにしましょう。
一度できてしまった顔のシミは、市販の基礎化粧品などできれいに治すことは難しいです。美容皮膚科ではレーザー治療をはじめとした、シミの原因であるメラニン色素を分解したり、ターンオーバーを促進する治療で、根本的なシミ・くすみ改善が可能です。
このページの監修医師
フェミークリニック総院長北山 英美子
東邦大学医学部を卒業後、東邦大学形成外科に入局。経験を積んだのち、渋谷フェミークリニックを開院。2006年よりフェミークリニック全6院の総院長を務める。