皮脂が毛穴を塞いでいる白ニキビや、黄色い膿が溜まっている化膿ニキビは、目立つし痛みもあるしと、つい潰してしまいたくなりますよね。
しかしその気軽にいじってしまったニキビが、実はのちのち引きずる肌トラブルを引き起こします。特に、ニキビを潰した後の赤みや色素沈着、さらにクレーターやしこりなどの肌トラブルは、見た目だけでなく心にもダメージを与えます。そこで発生する悩みを最小限にするためには、ニキビを潰した後のケアが重要です。
この記事では、そのケア方法を具体的に詳しく解説します。適切な対処とケアで、皮膚トラブルは事前に防ぐことが可能です。
目次
ニキビを潰した後に起きる可能性のある症状
ニキビが気になるから、早く治したいからと自分で潰してしまうと、様々な肌トラブル症状が現れます。これらの症状を放置すると、問題が長く続いてしまうことがあります。またその症状はそれぞれ異なるため、適切な予防方法もそれぞれに求められます。
ニキビを潰した後に起こり得る具体的な症状は4つあります。これらの症状とその対策について、情報を正確に理解して、ニキビケアに役立てていただければと思います。
ニキビの悪化
ご存知のように、ニキビは「アクネ菌」を代表とする様々な菌によって引き起こされます。
ニキビを潰してしまうと、皮膚表面が破けてしまうことで雑菌に対して無防備な状態になります。
炎症が起きる前の比較的軽度なニキビ(白ニキビ)が炎症を起こして赤く腫れたニキビ(赤ニキビ)に進行したり、さらに黄色い膿が溜まる化膿ニキビ(黃ニキビ)へと悪化してしまったり、黃ニキビがさらに広がってしまったりする可能性が高まります。
【ニキビが突然大量発生】急にニキビが増える理由とキレイに治す治療法を解説
赤みのニキビ跡
ニキビを潰したあと、痛みを伴う炎症が引いても残る赤みは「ニキビ跡」と言われるものの一種です。
ニキビを潰すと皮膚のバリア機能が弱まり、雑菌が入って炎症を起こしやすい状態になります。その炎症が酷いと腫れや痛みを伴います。
しばらくして腫れや痛みが引いても、視認できないような細かな毛細血管が拡張したり増えたりした状態が長く続くことがあります。そうした肌の奥でくすぶっている炎症が皮膚に透けて赤く見えている状態で、これがニキビ跡の赤みです。「炎症後紅斑」とも呼ばれる症状です。
軽度であればターンオーバー(肌細胞の生まれ変わり)によって少しずつ薄くなりますが、炎症が強く、皮膚の深くまで傷ついている場合は自力で治るまで長い時間が必要になるケースがあります。
色素沈着のニキビ跡
ニキビ、特に膿が溜まっているような化膿ニキビ(黃ニキビ)を潰したのちに、シミのような赤茶~黒色の色味が残ってしまっている状態が色素沈着で、これもニキビ跡の一種です。
なぜ色素沈着が起きてしまうかというと、皮膚がダメージを受けてメラノサイトという細胞が活性化し、「メラニン色素」が生成されるためです。このメラニン色素が沈着してシミができます。
ニキビの色素沈着を受けてできたシミは、紫外線を長年受け続けてできたメラニンがシミになる「加齢シミ」と同様、セルフケアなど自力で薄くしたり、キレイに治したりするのが難しい症状です。
クレーターのニキビ跡
膿が溜まったような化膿ニキビ(黃ニキビ)を潰してしまうと、皮膚の表面だけではなく奥の真皮層までダメージを与える可能性があり、その結果、傷となって肌表面に凹みが形成されることがあります。こうしてできてしまったニキビ跡が、月のデコボコに見立ててクレーターと呼ばれています。
このデコボコを治療するとなると、軽度のニキビ跡とは異なり、皮膚の再生を促すような医療的な施術が必要になることになります。
【ニキビ跡のクレーターは自力で治せる?】最新の美肌治療なら凸凹も改善できる
うっかりニキビを潰してしまった!適切な対処法は?
ニキビを潰してしまうと、ニキビの症状が進行してしまったり、ニキビ跡になってしまうという懸念について解説しました。
しかし、どうしても気になって無意識にいじってしまったり、洗顔時などに潰してしまったりといったことはありますよね。
そこで、もしニキビを潰してしまった時のために、応急処置方法をお伝えします。
滲んだ膿や血をやさしく拭き取る
始めに、ニキビを潰して出てきた膿や血を丁寧に拭き取ることが重要です。放置していると雑菌が繁殖してしまいます。
ただし潰してしまったニキビ周りは皮膚が大変デリケートな状態です。使い捨てできる清潔な綿棒やティッシュ、ガーゼなどを使ってそっと拭いましょう。
素手や使用済みのハンカチなどで触るのは絶対にNGです。
患部を消毒する
次に、患部の消毒を行います。ニキビがある部位は皮膚の保護機能が落ちているところですので、細菌感染のリスクが高まります。
消毒液は怪我の消毒に使うような市販のもので大丈夫です。膿を拭った時同様、素手では触らず、清潔な綿棒やガーゼに浸して患部を優しく洗うように塗布してください。
ただ、強く染みる場合や敏感肌の方は無理に消毒しなくても大丈夫です。
キレイな水で洗って雑菌を落としたのち、清潔なガーゼなどで水気を拭き取りましょう。
絶対に素手で触らない
私たちの素手には、一見キレイに見えても実は目に見えない細菌が多く存在しています。これらの細菌がニキビに触れると予期しない炎症を引き起こすことがあるため、素手では患部に触れないようにしましょう。
無意識に触ってしまいそうな場合や、髪がかかるなど触れてしまいそうな箇所にあるニキビには、市販の絆創膏を貼って保護しましょう。
メイクは控える
ニキビを潰してしまった箇所は、メイクもしないようにしましょう。
顔にできてしまったニキビは見た目が気になるかもしれませんが、無防備な患部にファンデーションやコンシーラーを塗ってしまうと刺激になって炎症が悪化し、症状が長引く可能性が高まります。
【ニキビが膿でパンパン!】なぜ?どうすればキレイに治せる?原因と対策、注意点を解説
潰れたニキビがある時のスキンケアは?
潰したニキビがある箇所には、適切なスキンケアが必要です。
ケアを怠ると、皮膚の状態が悪化し、炎症やニキビの跡、色素沈着を引き起こすことがあります。
洗顔方法について
ニキビが意図せず潰れた後のお手入れでは、適切な洗顔が重要です。ニキビ跡にならないようにお手入れするには、肌に負荷をかけないで清潔に保つことが必須です。
まず、皮膚を強くこすって洗うのは絶対に避けましょう。皮膚を傷つけ、ニキビ跡を悪化させる可能性があるからです。洗顔の泡をしっかりと泡立てて、手が直接触れないように優しく洗いましょう。
加えて、洗顔料についても工夫が求められます。添加物や香料のない洗顔料が良いでしょう。皮膚に刺激を与えない成分を使った洗顔料は、皮膚への負荷を減らし、ニキビ跡のお手入れに適しているからです。
洗顔後は清潔なタオルで顔を包んで水分を取り、すぐの保湿を心がけてください。
保湿の重要性と方法
ニキビ対策には「保湿」も重要です。乾燥した肌は、バリア機能が低下し、新たなニキビを引き起こす原因となります。
ニキビのケアには肌を清潔に保つことが重要ですが、洗顔を過剰にしすぎるのも、うるおいを保つのに必要な皮脂まで落ちてしまい、乾燥を招くきっかけになります。洗顔は朝と夜の一日2回までにしましょう。
洗顔後は、タオルでおさえるようにして優しく水分をふきとり、たっぷりの化粧水で保湿しましょう。アクネ菌を抑制する殺菌作用や抗炎症作用のある薬用化粧品が良いでしょう。化粧水だけでなく、乳液やクリームなども使い、保湿成分を肌に閉じ込めることで、肌の水分が逃げるのを防ぎます。
ただ、ニキビが潰れた患部は肌が敏感になっているため、薬用化粧品では刺激が強い場合があります。染みるなどの刺激がある場合は、敏感肌用などのマイルドな成分のものを選びましょう。
ニキビが潰れた後の塗り薬は?
ニキビが潰れた後のケアは、消炎効果や皮膚再生効果のある塗り薬の使用が推奨され、更なる肌トラブルを避けるために重要です。
市販の製品を選ぶ際は、成分表記を重視し、皮膚に刺激のある添加物が含まれていないかを確認することが大切です。塗り薬選びに迷ったり、スキンケア商品で改善が見られない場合は、皮膚科医に相談し、処方箋をもらうことも選択肢に含めてください。
特に抗生物質が含まれる薬はクリニックでないと処方できません。
早く炎症を沈めてニキビ跡として定着するのを防ぐためにも、処方薬の使用が望ましいです。
皮膚科での治療は必要?
ニキビを潰してしまった後、ニキビ跡になるのを防ぐためには、その後のケアが重要です。自分での対応が難しい場合やニキビが悪化しそうな場合は、「たかがニキビ」と思わずに、皮膚の専門医の治療を受けることをおすすめします。
専門的に膿を除去する「面ぽう圧出」
面ぽう圧出とは、専門知識を持つ医師や看護師が、特定の器具を使用してニキビの膿を除去する治療法を指します。
自分でニキビを潰すのは絶対にNGですが、専門のクリニックで行う皮脂や膿の除去は、ニキビを早期治療するために有効な手段です。
処方薬(塗り薬・飲み薬)で早期治療
皮膚科では、ニキビの状態と皮膚のタイプに合わせて、最適な治療法を選ぶことができます。ニキビの原因となる角質詰まりを除去したり、すでに炎症を起こしてしまったニキビの炎症を鎮める抗生物質など、市販薬では使えない有効成分を含まれた薬を、医師の判断のもと処方を受けることが可能です。
また、悪化したニキビが多数ある場合は、塗り薬だけでなく、内服薬としての抗生物質が処方される場合もあります。
塗り薬は塗布することで、できているニキビやニキビができやすい箇所にピンポイントに作用するのに対し、内服薬は全体に効果を及ぼし、複数箇所に出現している炎症ニキビを一度に抑制する働きを持ちます。
できてしまったニキビを早く治すには?悪化するNG行動も【美容皮膚科医監修】
一般皮膚科と美容皮膚科、どちらを受診したらいい?
いざ病院でニキビを診てもらおうと思っても、一般皮膚科と美容皮膚科のどちらを受診したら良いか迷う方もいらっしゃると思います。
一般皮膚科と美容皮膚科の違いは、「今ある症状を治す」のが一般皮膚科で、「治療した上でより美肌を目指す」のが美容皮膚科です。また、一般皮膚科は医療保険が適応される「保険診療」が主で、美容皮膚科の治療は全額自己負担となる「自由診療」のメニューが主となります。
したがって、今ニキビを潰してしまって悪化しそうなニキビがある場合は、まずは一般皮膚科を受診して塗り薬や内服薬を処方してもらうと良いでしょう。
その後、何度もニキビが再発してしまうお悩みや、ニキビになりにくい肌をキープしたい場合は、美容皮膚科を受診してより美しい肌を目指しましょう。
また、すでにニキビ跡になってしまったニキビは、一般皮膚科では治療できません。
その場合も美容皮膚科の出番です。レーザー治療などの最先端の医療技術で、しつこいニキビ跡を治療することができます。
北山総院長が解説!重度ニキビを最短で治す方法
フェミークリニック公式YouTubeでは、北山総院長自ら重度ニキビを最短で治す方法について解説しています。
ぜひこちらも参考にしてみてください。
潰しそう・潰してしまったニキビが気になるなら、フェミークリニックの無料カウンセリングへ
ニキビを潰してしまうと、ニキビの悪化やニキビ跡へと繋がってしまいます。そうなる前に、フェミークリニックの無料カウンセリングを受けてみませんか?
ニキビを潰さず、悪化させずにキレイにする、お一人お一人にあったニキビ治療プログラムをご提案します。もちろん、話を聞いたからといってすぐに治療を決断する必要はありません。まずは美容医療のプロに、ニキビ悩みについてじっくり相談してみてはいかがでしょうか?
ニキビを潰した後に関するよくあるご質問
- ニキビを潰した後はどうしたら早く治りますか?
- まず、何よりも清潔を常に心掛けることが基本です。潰れた部分は、優しく丁寧に洗い、洗浄後は清潔なタオル等でソフトに水分を拭き取ります。その後、抗菌成分を含んだ化粧水やローションなどで部位を保湿し、悪化のリスクを減らします。
できれば皮膚科を受診し、抗生物質を含む処方薬を出してもらいましょう。 - ニキビを潰した後は自然に治りますか?
- 一般的に、ニキビが潰れた後でも自然に治すことは可能です。しかし、放置したニキビは深刻な肌ダメージを引き起こし、新たな肌トラブルを招く可能性があるため、適切なケアは必要です。
まずは潰れたニキビの部分を清潔に保つことを意識しましょう。清潔に保つことで細菌の増殖を防ぎ、炎症の拡大やニキビの再発を防ぐことができます。
また、ニキビを潰した後の肌は特にデリケートな状態になります。刺激を避けて肌をいたわることにより、早期回復が期待できます。 - ニキビが潰れてしまった後は何を塗ったらいいですか?
- まずは抗菌効果と保湿効果を兼ね備えた薬用スキンケア商品の使用が有効です。ニキビを早期治癒してキレイに治すためには、抗菌効果と保湿効果のある商品選びが必要です。
ただし、注意すべき点として、薬用化粧品は刺激の強い商品が存在するため肌にダメージを与える可能性があります。特に敏感肌の方は、できる限り肌に優しい低刺激の商品を選び、スキンケアを行ってください。
そして繰り返しになりますが、できれば病院を受診し、処方薬を塗ることが、早くニキビを治す一番の近道となります。