アブレージョンとは

アブレージョンとは

アブレージョンは、深いニキビ跡の凹凸(クレーター)に対して行う外科的な治療です。レーザーや外用治療では変化が得にくいアイスピック型やボックスカー型に用います。皮膚を一度リセットし、傷を治そうとする体の働きを使って再生をうながす点が、保存的な治療との違いです。

アブレージョンの基本的な考え方

凹んだニキビ跡の表皮から真皮の浅い層までを物理的に削り取り、肌の創傷治癒力を引き出す治療です。abrasion(削る)が名前の由来で、凹凸の原因になっている硬く変性した組織を除去します。

治療後は傷を治す過程で線維芽細胞が活発になり、コラーゲンが新たに作られます。凹みが内側から持ち上がるように整っていきます。1回の施術でも変化を感じやすい一方、ダウンタイムをともなう治療です。

アブレージョンの歴史

アブレージョンは、フラクショナルレーザーが登場する前から行われてきた治療です。一時は施術数が減りましたが、クレーター治療での有効性が見直され、再び行われるようになりました。

現在は従来の機械的な削皮に加えて、CO2レーザーを用いる方法が主流です。専用の機器と技術が必要なため、実施できる医療機関は限られます。

CO2アブレージョンの仕組み

炭酸ガス(CO2)レーザーを使い、クレーター状になったニキビ跡の硬い瘢痕組織を削り取ります。組織を取り除くことで創傷治癒反応が働き、コラーゲンが作られます。新しい皮膚組織が凹みを下から埋めていくため、肌の表面が徐々に平らになります。

アイスピック型やボックスカー型といった深いニキビ跡に用いられます。2〜3回の治療で変化を感じる方が多く、サブシジョンなどを組み合わせることもあります。

クレーターの治療が難しい理由

ニキビ跡のなかでも、クレーター状に凹んだタイプは治療が難しいとされます。皮膚の表面だけの問題ではなく、真皮のレベルで構造そのものが変わっているためです。

クレーターができる仕組み

クレーター(陥没)が起きる仕組み

クレーターは、ニキビの炎症が皮膚の深い層まで及んだ結果として生じます。炎症が長引いたり、膿をともなう重いニキビができたりすると、皮膚は治そうとする過程でコラーゲンを過剰に作り、異常な線維組織(瘢痕組織)ができます。

この線維組織が皮膚を内側へ引き込むことで、アイスピック型やボックスカー型の凹みが固定されます。この状態になると、自然に元の平らな肌へ戻ることはほとんどありません。

セルフケアで戻りにくい理由

クレーターは真皮が欠損し、線維化した組織で固まっている状態です。スキンケアや外用薬、出力の弱いレーザー治療では、奥にある構造そのものを変えることができません。セルフケアで見込めるのは目立ちにくくする程度にとどまります。

早めの治療が近道になりやすい理由

クレーター状のニキビ跡は、時間が経つほど線維組織が硬くなり、皮膚内部での癒着も強まります。放置すると治療の難易度が上がり、必要な施術回数と期間も延びます。

早い段階で治療を始めれば、比較的少ない回数で変化を感じやすくなります。もう治らないと決めてしまう前に、まずは診察を受けてください。

どんなニキビ跡に向いているか

ニキビ跡の凹みは、見た目が似ていても原因と皮膚の状態が異なります。クレーターのタイプに合わせて治療を選ぶことが必要です。

ローリング型

ローリング型

肌の表面がなだらかに波打つように凹んで見えるタイプです。皮膚の深い層でできた線維組織が、表皮を内側から下へ引っ張っていることが原因です。凹みの境界は曖昧ですが、照明や角度によって影が目立ちます。癒着を解除する治療と、肌の再生力を高める施術の組み合わせが向いています。

ボックス型

ボックス型

縁がくっきりとした四角い凹みが目立つタイプです。ニキビの炎症が真皮にまで及び、修復が進まなかった結果、皮膚が欠損した状態で残ります。周囲の組織が硬くなっていることも多く、表面的なケアでは変化を感じにくくなります。凹みの縁を整え、皮膚の構造を作り直す治療でなめらかな状態を目指します。

アイスピック型

アイスピック型

針で刺したように深く細い凹みが特徴です。炎症が長く続くことで毛穴の周囲が線維化し、深い部分まで欠損した状態で固定されます。クレーターのなかでも改善が難しく、集中的な治療やほかの施術との併用を検討します。

アブレージョンで期待できる変化

アブレージョンは、ニキビ跡治療のなかでも変化が分かりやすい治療です。レーザーや外用治療では改善が難しかった深いクレーターにも用いられます。

施術後の肌の変化

凹みの原因になっている組織を取り除き、創傷治癒反応を使って新たなコラーゲンの生成をうながします。クレーターの縁がなだらかになり、凹みが浅くなっていきます。

施術直後は削った部分が擦り傷のような状態になり、赤みやかさぶたが生じますが、1週間前後で上皮化が進みます。その後も数か月かけて皮膚の再構築が進み、表面が整っていきます。写真で比べると違いが分かる方もいらっしゃいます。

効果を引き出すためのポイント

治療後の経過管理と、組み合わせ治療が結果を左右します。傷が治った後にレーザー治療やトレチノインの外用を併用すると、肌の再生がさらに進みます。ダウンタイム中の紫外線対策と保湿も欠かせません。

治療の時期は、長めの休みが取れるタイミングを選ぶと経過を過ごしやすくなります。

組み合わせ治療という選択

ニキビ跡は皮膚の表面だけでなく深い層までダメージが及んでいることが多く、ひとつの治療だけでは十分な改善が難しい場合があります。当院では、凹みの原因、肌質、これまでの治療歴を踏まえて、複数の施術を組み合わせる治療をご提案しています。

アブレージョンとサブシジョン

アブレージョン×サブシジョン

深いクレーターでは、皮膚の奥で線維組織が癒着し、肌を下へ引き込んでいることが多くあります。表面を整えるアブレージョンに加え、癒着そのものを解除するサブシジョンを組み合わせます。凹みの原因を取り除いたうえで表面をなだらかに整える組み合わせです。

アブレージョンとダーマペン

アブレージョン×ダーマペン

クレーターの改善とあわせて、肌全体の質感を整えたい方に向く組み合わせです。ダーマペンは微細な針で創傷治癒反応を引き出し、コラーゲンとエラスチンの生成をうながします。アブレージョンで凹みを整えた後に行います。

アブレージョンとACRS

アブレージョン×ACRS

炎症を繰り返したニキビ跡では、肌の回復力そのものが落ちていることがあります。ACRSはご自身の血液から抽出した成長因子と抗炎症成分を用い、肌の再生力に働きかける治療です。アブレージョンの後に併用します。

診察で見ているところ

組み合わせを決めるときは、クレーターの種類と深さに加えて次の点を確認します。

  • 皮膚の硬さ

  • 炎症や赤みの有無

  • これまでの治療歴

  • ダウンタイムを確保できるか

お一人おひとりの肌の状態を見たうえで、無理のない範囲の治療プランをご提案します。気になることがあればお知らせください。

ダウンタイムと過ごし方

アブレージョンは一定期間のダウンタイムが必要な治療です。経過を理解し、適切にケアすることで回復はスムーズに進みます。

当日から数日

施術当日は、表面麻酔を行っていても照射後にヒリヒリ感や軽い痛みを感じることがあります。多くは短時間で落ち着きます。施術部位は赤みや滲出液が出て、じくじくした状態になることがあります。

この期間は軟膏を塗ったうえでガーゼによる保護が必要です。シャワーは当日から可能ですが、入浴は軽めにして血行を促しすぎないようご注意ください。飲酒と激しい運動は控え、安静にお過ごしください。

1週間前後

数日たつと滲出液は落ち着き、ガーゼ保護からテープ保護へ移ります。施術後1週間ほどはテープで保護しながら日常生活を送っていただきます。

このころには傷が上皮化し始めますが、赤みや軽い腫れが残ることがあります。体質によっては赤みや色素沈着が数か月続くこともあり、徐々に落ち着いていきます。紫外線対策を徹底し、必要に応じて内服薬の併用も検討します。

ダウンタイム中に気をつけること

洗顔とスキンケアは施術の翌日から可能です。こすらず優しく行ってください。トレチノインなど刺激の強い外用薬とピーリングは、1か月ほど控える必要があります。

メイクは施術部位以外であれば翌日から可能です。施術部位は上皮化が終わってからになります。紫外線は色素沈着の原因になるため、日焼け止めや帽子でしっかり対策してください。喫煙は治りを遅らせるため、施術の前後はできるだけ控えることをおすすめします。

治療のタイミング

ダウンタイムをともなう治療のため、事前にスケジュールを考えて計画することが大切です。

予定から逆算する

仕事・イベントから逆算

治療部位は1〜2週間ほどガーゼまたはテープでの保護が必要です。人前に出る予定や大切なイベントがある場合は、最低でも1〜2週間前に施術を受けられるよう逆算してください。長期休暇や在宅勤務ができる期間を選ぶと過ごしやすくなります。

余裕をもったスケジュールを

ダウンタイムに余裕をもつ

上皮化そのものは1週間前後で進みますが、赤みや色素沈着が落ち着くまでには数週間から数か月かかることがあります。予定を詰め込みすぎず、2週間ほどは余裕をもたせてください。

動画でみる
アブレージョン治療の流れ

治療の概要

施術時間 約30分
麻酔 外用麻酔と局所麻酔
痛み 麻酔注射のときに軽い痛みがあります
ダウンタイム 傷の治癒まで約1週間。赤みは2〜3か月ほど続くことがあります
通院 施術後2日目と7日目
洗顔 7日目以降
シャワー 当日から可能です
入浴 傷が治癒する7日目以降
メイク 傷が治癒する7日目以降
効果の持続 削り取った瘢痕組織は元に戻りません。ただし新しいニキビができれば、そこから凹みが生じることがあります
治療間隔 複数回行う場合は2〜3か月あけます
保険適用 自由診療のため、健康保険は適用されません。全額自己負担となります

リスク・副作用

起こりやすいもの 赤み、ヒリヒリ感、色素沈着
ときどき起こるもの 腫れ、むくみ、凹みの残存
まれに起こるもの 肥厚性瘢痕、ケロイド、感染症
その他 表面麻酔によるかぶれ、迷走神経反射
きわめてまれなもの 麻酔薬のアレルギー
ダウンタイム中の注意 治療部位は1〜2週間ガーゼで保護します
生活の制限 当日の激しい運動と飲酒はお控えください

効果の現れ方には個人差があります。治療の適応、回数、経過については、無料カウンセリングと診察の際に医師からご説明いたします。

治療を受けられない方

次に当てはまる場合は、アブレージョン治療を受けられないか、慎重な判断が必要になります。

  • 妊娠中、または妊娠の可能性がある方

  • 授乳中の方

  • 真性ケロイド体質の方

  • 抗凝固薬を服用中の方

  • 施術部位に感染症や強い炎症がある方

  • 麻酔薬にアレルギーのある方

  • 医師が安全に施術できないと判断した場合

ご不安な点は、カウンセリングのときに必ずお知らせください。

料金

アブレージョン

1〜4ヶ所 5〜10ヶ所 両頬 全顔
¥39,600 ¥66,000 ¥132,000 ¥184,800

いずれも税込み価格です。初診料、カウンセリング料、再診料はいただきません。

アブレージョンの
よくあるご質問

Q
痛みはどれくらい?
Q
治療の頻度はどのくらいのペース?
Q
男性でも受けられる?
Q
施術後、いつからメイクできる?
Q
他院で効果が出なかったクレーターでも対象になる?
Q
ニキビがまだ出る/再発しやすい場合はどうする?

監修医師・ドクター

総院長兼、渋谷院院長 北山英美子

総院長兼、渋谷院院長 北山英美子

【経歴】
1999年 3月 東邦大学 医学部 卒業
1999年 4月 東邦大学 形成外科 入局
2003年 5月 渋谷フェミークリニック 院長就任
2006年 2月 フェミークリニック 総院長就任
2026年 4月 渋谷フェミークリニック 院長就任
日本美容外科学会(JSAS) 所属
日本形成外科学会 所属
日本皮膚科学会 所属